主な対象疾患

脳血管障害

緊急疾患では迅速かつ正確に、予定手術では基本的に全ての構造物の温存した無血手術を心がけています。


くも膜下出血 ( 破裂脳動脈瘤 )

くも膜下出血の原因はほとんどが脳動脈瘤破裂による出血です。予後をよくするために、当院では術中に徹底してくも膜下出血の血腫洗浄を行います。上山式イリゲーションサクションを用い、double suction methodにて洗浄します。却って小血管や脳軟膜を傷めないよう技術を要します。

irrigationの実際

大型中大脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の症例

大型の破裂動脈瘤に対し開頭クリッピング術を施行。脳梗塞等合併症が起こる事なく退院されています。術前CTで認められるくも膜下出血は術後に反対側や、後頭蓋窩まできれいに洗浄除去されています。
術後はニカルジピンの低用量持続点滴療法(CLIN)を行っています。これらの治療を行うことで、大変怖い合併症である脳血管攣縮(血管が縮みあがり、梗塞を起こすことがあります)の合併率は通常15%-20%程度と報告されていますが、当科では3%程度に抑えることが可能です。
術中にくも膜下出血の血腫洗浄を丁寧に行う事で、術後に腰椎ドレナージを留置しません。この為、髄膜炎の発生も少なく、すぐに離床可能なため、早期からリハビリを行います。下記論文をご参照ください。

術前CT

術後二日目CT

World Neurosurg. 2017 Nov;107:630-640. doi: 10.1016/j.wneu.2017.08.088. Epub 2017 Aug 24. PMID: 28843762
Preventing Cerebral Vasospasm After Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage with Aggressive Cisternal Clot Removal and Nicardipine.
Ota N, Matsukawa H, Kamiyama H, Tsuboi T, Noda K, Hashimoto A, Miyazaki T, Kinoshita Y, Saito N, Tokuda S, Kamada K, Tanikawa R.


脳動脈瘤 ( 未破裂 )

脳ドック等で偶然見つかった小さな動脈瘤から、圧迫による神経症状を呈する大きい動脈瘤、血管内治療後、開頭クリッピング後の再発動脈瘤など、様々な動脈瘤があります。単なるクリッピングでは対処できないものもあり、バイパス手術を行い、最善の治療を心がけています。無血操作を心がけ、穿通枝(数十ミクロンー数百ミクロンの太さ)や脳表への小血管、細かい静脈など、すべての血管の温存を心がけた、丁寧な手術を行っています。この為、出血量が少なく輸血を行う事は通常ありません。元の生活に早期にもどれるよう、無剃毛で手術を行っています。


増大しつつある脳底動脈-上小脳動脈分岐部の血栓化動脈瘤の症例

高位の動脈瘤で、開頭手術も血管内治療も困難との理由から、他院で経過を見られていた方の画像です。脳幹に動脈瘤の圧排による浮腫を認め、ふらつきがありましたが、術後消失し自宅退院されています。

術前

術後

術前

術後

増大傾向の未破裂前交通動脈瘤の症例

前交通動脈瘤は破裂しやすい為、小型でも積極的に治療を行っています。
根治させる事が大事です。この症例では上向きの動脈瘤にて前頭開頭により大脳半球間裂より動脈瘤にアプローチする必要があります。前頭洞の処置を行い術野を拡大し嗅覚を温存した手術です。


頚動脈狭窄症

CEAを施行した症例

術前CTA

術後CTA

赤矢印:内頚動脈に狭窄性病変を認めます。CEA(内頚動脈血栓内膜摘出術により狭窄が改善しています。

以前より血栓内膜摘出術(CEA)という外科治療が行われていたのですが、2003年以後はステントを用いた血管内手術(CAS)で治療されることが多くなってきました。CASは手術による傷ができませんし、CEAの合併症のひとつである下位脳神経障害が起きにくい、全身麻酔が不要、入院期間も短く済む、CEAを良い成績で行える外科医が限られているなどの理由から、好まれて行われる事が多いのですが、術後に小さな脳梗塞が認められることが多いです。一方CEAでは小さな脳梗塞は起こりにくく、慣れた術者が行えば、下位脳神経障害もほとんど起こりません。高齢者ではCEAの方がCASより脳梗塞が起こりにくいために 当科では、どちらの治療法も行える体制をとっています。患者様とよく相談の上、治療方法を決定しています。

全例に術中モニタリングを行い合併症の予防に努めています。皮膚切開は首のしわに沿って横切開しているために、術後に傷は目立ちにくいです。
顕微鏡下に頚動脈の露出を行い、内シャントチューブを全例に使用しています。
内頚動脈遠位部の処理を丁寧に行う必要があり、強拡大で微細な処置を行っています。


脳梗塞

軽症から重症のものまで、最良の治療を行っています。急性期の脳梗塞に対し、安全に使用するための条件が合えば、積極的にt-PAの投与を行っています。t-PAで血栓が溶解しない場合には、血管内治療で血栓除去を行います。それでも血栓が除去できない場合や、出血などの合併症が生じた場合もすぐに開頭手術をできる体制を整えました。アテローム血栓症では慎重に判断の上、急性期バイパスを行うこともあります。

急性期にSTA-MCA bypassを行い、梗塞の進行を食い止めることが可能でした。


脳出血

内視鏡を用い局所麻酔下に低侵襲で血腫除去術を行います。多量の血腫や、血腫が硬い、動脈瘤、血管奇形などの出血源となる病巣を合併している場合は開頭手術が必要になります。24時間365日、緊急ですぐに開頭手術に移行するための準備を整えています。血腫除去を行う際は、高圧のイリゲーションサクションを用い、血腫を脳実質から浮かせ、周囲の脳組織を傷めないように丁寧な手術を行っています。


開頭血腫除去術を施行した症例

術前CT

術翌日のCT

周囲の脳組織を傷つけないように血腫だけを摘出します。


経内視鏡的血腫除去術を施行した症例

術前CT

術後CT


もやもや病

出血、虚血で発症され、外科治療が必要と思われる患者様に対し、積極的に治療を行っています。血行再建の方法は浅側頭動脈(頭皮下の血管)を用いて脳表の血管にバイパスを行う直接血行再建術と 側頭筋、硬膜、帽状腱膜などの結合組織を脳表に接着させて、新生血管の発達を待つ間接血行再建が行われてきました。当科では、直接血行再建術と間接血行再建術を組み合わせ、前大脳動脈領域、中大脳動脈領域の広範囲の血流を改善させる方法で行っています。


脳動静脈奇形

術中にICGだけではなく、IVDSAを行いナイダスと言われる血管塊の裏側まで、血管の構造を確認して安全に摘出術を行っています。


硬膜動静脈瘻など

脳外科専用のバイプレーンDSA装置により、血管内治療が可能なものは血管内治療で行っております。


三叉神経痛 顔面痙攣 舌咽神経痛

頭蓋底手術のテクニックを用い、小脳を極力圧迫しないように術野を作り、病巣を確認後に責任血管を移動させています。椎骨動脈でも移動できるような手術を心がけています。


脳腫瘍

下垂体腫瘍

下垂体腫瘍の治療経験の多い、専門の医師が外科治療を行います。


髄膜腫

良性腫瘍が多いのですが、取り残すと再発しやすい事が分かっています。この症例では上矢状静脈洞内に腫瘍が入り込んでいたため、腫瘍を全摘出後に下肢の大伏在静脈を用いて静脈洞を再建しました。

術前 造影MRI

術後 造影MRI

術前 MRI T2WI

術後 MRI T2WI

腫瘍の周囲に認められた脳浮腫が術後に軽減しています。


術前 CTV

術後 CTV

上矢状静脈洞内の腫瘍が全て摘出されています。大伏在静脈で再建された上矢状静脈洞の描出も改善しています。


外来診療表

 
午前 斎藤 平沢 斎藤 斎藤 担当医 石原
午後 平沢 平沢 担当医 斎藤 担当医  
〒320-0811 栃木県宇都宮市大通り1-3-16
社会医療法人中山会
宇都宮記念病院
脳神経外科
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